2022年度モバイル社会白書によると、子どものスマホの所持率は年々上昇しており、2021年は初めて小学生でスマホがキッズケータイの所持率を上回り、中学生のスマホ所持率はおよそ7割となっています。
中学校や高校への入学を前に、子どもにスマホを持たせることを検討するご家庭も多いのではないでしょうか?
でも、「親はどこまで管理すればいいの?」「制限をかけたいけど子どもが嫌がる…」というように、スマホをどのように持たせるべきか悩んでいる親御さんは多いようです。
この記事では、子どもが適切にスマホやネットと付き合えるようにするためのルールの決め方について解説します。
子どもにスマホを持たせる前に親御さんに知っておいていただきたいことは別の記事(子どもにスマホを与える前に」にまとめてありますので、ぜひそちらもご一読ください。
親が使い方を決める
- 使い方を決めるのは親
- もちろん子どもの意向も確認
- 使えるアプリや機能は限定する
スマホをどう使うかは親が決めましょう。
もちろん子どもの意向も確認しますが、一体何を目的にスマホを子どもに持たせるのか、一度立ち止まって考えてみてください。
親子で連絡を取るため? 友達とコミュニケーションを取るため? 動画を見るため? ゲームをするため?
スマホはその全てが出来る便利な道具ですが、それ故、際限なく触ってしまうものです。
スマホの使いすぎを防ぐには、アクセスできるアプリ・機能は限定しましょう。
買い与えるのではなく貸す
- 所有権はあくまで親
- ルールが守られなかった場合は返してもらう
スマホの所有権はあくまで親にあり、子どもに貸しているだけなのだ、ということは最初に渡す時に必ず伝えましょう。
そして、ルールに従わない行動があった際には、一定期間使えなくなったり親に返却してもらうこと、違反が繰り返されたり重大な違反が起きた場合には解約する、といったことも最初に決め、子どもに伝えておきましょう。
ルールを話し合う
- ルールは「はっきり」「具体的」
- ルールは丁寧に作る(時間をかけて話し合う)
- 契約するということ
- 親も子どもと一緒に我慢
スマホの利用に限らず、家庭で子どもと何かルールを決める時は「はっきりと」「具体的な」形にすることがポイントです。
例えば、「夜の9時までにやめて、親に渡すこと」「自室に持ち込まず、リビングで使うこと」と言った具合です。
「いつ、何をするか」、子どもにも親にもはっきりと分かる、言い方を変えると「目に見える形」のルールにしましょう。
「やりすぎないように」などといった曖昧なルールですと、何をもって「やりすぎ」なのか全くわかりません。親子双方が都合の良いように解釈し、ケンカになるだけです。
ルール決めは大変重要な作業です。いわば親子で契約を結ぶのですから、ここは時間をかけて、お互いが納得するまで話し合いましょう。
大人であれば契約の重さはよく分かっていると思います。
ルールで決めると良いことの例を一覧にしてみました。
- どのアプリや機能を使えるか
- スクリーンタイムは何分(時間)か
- 終わる時間は何時何分か
- 使用できる場所はどこか
- マナーや家族として大事にしたいこと
- 食事中は見ない
- 人に話しかけられた時は置く
- ルールを破った時の対処
- 1回目は注意、2回目は3日間使用禁止、3回目は解約、など
- ルールを変える際の手続き方法
どの「アプリ」を使って良いか、スクリーンタイムをどれくらいにするか、マナーに関わる部分、そしてルールを破った時の流れや、ルールを変更するときの手順等々…、
「こんなに決めなきゃダメ?」「しつこい!」
といった文句が子どもから聞こえてきそうですが、これでも最低限です。
そして、ルールは双方が守ってナンボのものです。
案外、親の方がルーズになったり「宿題しなかったらスマホはなしね」などと勝手にルールを追加したりして子どもの信用を失っているケースが少なくありません。
子どもが守るのは当然ですが、親の方こそブレずにルールに則った行動を続けられるかが大事なカギになります。
ですから、ルールはお互いが守っていることが目に見えてわかるように、はっきりと具体的なものにしましょう。
より守って欲しければ、親も子どもと同じように使用を制限して過ごすと良いでしょう。
「パパもスマホ見たいけど、君が頑張れるように僕も9時以降は我慢するよ」といった具合です。
最近は大人でも使い過ぎの人が増えていますので、デジタルデトックスにもなって良いでしょう。
親子でスマホを見ない分、おしゃべりしたり、一緒に遊ぶ等、充実した時間が過ごせるかもしれません。
大人がモデルを示すことほど良い学習方法はありません。
書面にして見えるところに張り出す
- 紙に書く
- 目のつくところに貼る
- 親子双方がルールに従う
ルールを決めたら、紙に書き出しましょう。本物の契約書さながらにサインやハンコを押しても良いでしょう。
書面が完成したら、目のつくところに貼っておきます。こうすることで子も親もルールを忘れずに済みます。
でも、人間は面倒臭がりな生き物ですので、時間が経つとどうしてもなぁなぁになりがちです。
親がテキトーな管理をすることによって子どもたちが学習するのは、「約束なんて守らなくてもヘーキヘーキ」「大人ってちょろい」「少し辛抱すれば好きなようにできる」といった誤った信念です。
「約束を守りなさい」と言うのは簡単です。でもその言葉に行動が伴っていなければ、伝わるのは正反対の意味です。
子どもは大人のことを本当によく見ています。口先だけの大人にはならないようにしましょう。
ルールを守っていたら褒める
- その都度褒める
- 具体的に褒める
- ルールが定着した後も褒める
そして、もう一つ最後に大切なこと、
子どもがルールを守っていたら、その都度褒めましょう。
「声をかけたらすぐやめられたね、すごいね」「今日も時間が守れたね」
というように褒めるときも「具体的に」がポイントです。そして、子どもがやったらすぐ言うというのも大事。
しばらくすると「守るのが当たり前」と思ってしまいますが、それではいけません。
ルールが定着した後も褒めましょう。ただし、褒め方はそんなにあからさまにせずとも、頷きや微笑みでも十分かもしれません。
「あなたが約束を守っているところを見ているし、嬉しく思っているよ」ということを伝えてあげると、子どもも約束を守る甲斐があるというものです。
ルールが守られなかった時は
- 粛々と決めた手順通り進める
- 叱ったり怒る必要なし!
契約書の条件に則るだけです。
叱ったり怒る必要はありません! 粛々と手順を進めれば良いのです。
もし、ルール破りが繰り返される場合は、子どもが悪いのではなく、ルール自体に問題があると考えます。そして、親子で根気強く話し合い、より良いルールにしていきましょう。
まとめ
スマホを扱う約束事が守れるかどうかは、そこに至るまでに親子の間でどのようにルールが守られ/破られてきたかにもよるかもしれません。
「いつも口約束だけで時間が経つとなぁなぁになって、その度に頭ごなしに叱ってる…」「うちはこんなふうには出来ないかも…」という親御さんも、諦めないでください。
冷静かつ真剣に親子で話し合う時間を作って、親が本気で向き合えば、子どももそれに答えてくれるはずです。
スマホを持たせることで親子のコミュニケーションが減ってしまうのではなくて、より充実するような機会にしてもらえたらと思います。
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