ODと診断されたけど、一体どうしたらいいの!? と戸惑われる親子は多くいらっしゃいます。今回は筆者がいろいろな患者さんや親御さんと関わってきた中で、大切だなと思った心構えをいくつか挙げます。いきなり対策に取り組む前に、この病気と関わる際のスタンスをしっかり整えていきましょう。
ポイントとなるのは以下4つです。
- 敵はODと捉えよう
- 腰を据えて付き合おう
- 今できていることに注目しよう
- アクションを起こそう
順番に解説していきましょう。
敵はODと捉えよう
親子双方にまず認識してほしい大事なこと、それは
”敵はあくまでもODだ”
ということです。
「えっそんなの当たり前じゃない?」と思う人もいるかもしれませんが、意外とこの点を見失っている人が多いのです。
朝起きられないのは、子どもの性格や親の育て方の問題ではありません。そもそも、そのように犯人探しをしたところで解決に繋がることはまずありません。朝いくら起こしても子どもが起きてこないのは、ODの症状のせいです。つまり、悪いのはODという症状であって、子どもそのものではないのです。
まずはODについて本を読んだり、ネットで調べたり、病院の先生に聞いてみたりして、「敵はどんなやつか」を知りましょう。
一方で、「ODだからいくらでも寝坊していい。ODなんだからしょうがないだろう」と開き直る人もたまにいますが、それもいけません。ODであろうとなかろうと、社会に出て生きていくためには人並みの生活習慣を身につけていく必要があります。ただ、その習慣を身につけるのに工夫が必要で、他の子よりもいくらかエネルギーが必要になるのがODという病気です。
そうしたことをふまえて、親と子で一致団結し、ODという強敵に立ち向かっていくんだ! という心構えを最初に作りましょう。
腰を据えて付き合おう
ODの改善には、軽症例で2−3ヶ月、重症例では2−3年以上かかると言われています。(一般社団法人小児心身医学会https://www.jisinsin.jp/general/detail/detail_01/)
しかも、これは適切な治療を受けた場合ですので、まだ良い方だといえます。筆者の体感でも年単位で治療を続けているケースは多いです。ある程度の長期戦になることを念頭に置きましょう。
また、季節の変わり目で不調に陥りやすかったり、良くなったと思っても翌年の同じような時期に再発をしてしまう等、月単位・年単位で調子に波がある子もいます。「もう良くなったかも!」と喜んでいてもぬか喜びに終わる可能性もありますので、親御さんはなるべく平常心を保ちましょう。
多くのご家庭では主に母親がお仕事やパートを休み、子どもの面倒や学校への連絡・送迎といった対応を行うことが多いですが、これ実はかなりストレスフルな作業です。母親一人にやらせ続けていると親子関係どころか夫婦関係もこじれる危険性がありますので、父親はもちろんのこと、親戚や友人の力も借りてなるべくそれぞれの負担が少なく済む体制を組むことをお勧めします。
今できていることに注目しよう
親子の倒すべき敵がはっきりしたら、今度は敵を倒すための武器探しです。その武器とはズバリ、「今できていること」です。
「今月一度も学校に行けませんでした…」と残念がるお母さんがいました。でもよくよく聞いてみると、放課後に先生に会いに行っていたりします。ちょっとお母さん! それ行ってるじゃん!! とついついツッコんでしまいます。まぁそう言いたくなる気持ちも分かりますけどね…。
でもせっかくの「できていること」をできなかったことに含めて考えてしまうのはとてももったいないことです。放課後に顔を出すことも立派な登校です。お子さんの中にはそれも嫌がってしない子も結構いますので、それができているのであれば胸を張って良いのです。そして子どもがそれをできているのは親のサポートがあってこそですから、親も自身を褒めてあげてください。
その他に「前よりも座っていられるようになった」「前よりも意識して水分を取るようになった」「料理に興味を持ち始めた」等々、とにかくちょっとしたことでいいので以前の子どもの姿から変化したところに目を向けましょう。そこには改善へのヒントがたくさん詰まっているはずです。
アクションを起こそう
最後は心構えから少し踏み込みますが、ちょっとでもできている点が見つかったら、それを突破口にして小さなアクションを起こし、少しずつ生活を充実させていきましょう。
OD症状が特にひどい時期は、ほとんど寝たきり状態となるお子さんもいらっしゃいます。その場合はお薬を飲ませたり、通院をこなすことで精一杯かもしれません。それでももちろんOKです。
学校を休む直前まで無理をしていた場合は子どもが疲れ切っていることもありますので、そうした場合はある程度お休みする期間が必要です。しっかり休みましょう。
やがて体調が少し上向いてきて日中覚醒している時間が増えてきたら、例えば<OD対策10選>の中で出来そうなことから少しずつチャレンジしてみても良いでしょう。
学校への登校については別記事<学校への復帰の仕方>もぜひ参考にしてみてください。
まとめ
ODと診断されたら、誰しも戸惑うものです。でも診断されたということは倒すべき相手が分かったということですので、必要以上に怖がったり悲観する必要はありません。そしてまずは今回示したように、
- 敵はODと捉えよう …親と子で敵対しない
- 腰を据えて付き合おう …長期戦になるかもしれないことを念頭におく
- 今できていることに注目しよう …出来ていない面ばかりに注目しない
- アクションを起こそう …できることから少しずつ
の4点を意識し対処していくための心構えを作りましょう。この心構えがあれば安定して対策に取り組めるようになり、その効果もより高まるはずです。
みなさんが少しでも元気になれますように…!
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